純資産の計算方法 — 自分の「本当の資産額」を把握する
年収が高くても、住宅ローンやカーローンを抱えていれば「本当の資産」は意外と少ないかもしれません。逆に、年収が平均的でもコツコツ資産を積み上げてきた人は、純資産では上回っていることもあります。純資産(ネットワース)とは、「すべての資産 − すべての負債」で計算されるシンプルな数字です。この記事では、日本の家計に特有の資産・負債を整理しながら、あなたの純資産を正確に把握する方法を解説します。
純資産とは何か — 一番シンプルな資産の指標
純資産の計算式は非常にシンプルです。
例えば、預貯金500万円、投資信託200万円、マンション(時価3,000万円)を持っていて、住宅ローンの残債が2,500万円、カーローンが100万円ある場合、純資産は 500+200+3,000−2,500−100=1,100万円 です。
純資産が重要な理由は、年収や月収では見えない「お金の健康状態」を一目で把握できるからです。年収800万円でも住宅ローン4,000万円+カーローン300万円を抱えていれば純資産はマイナスかもしれません。逆に年収400万円でも、実家暮らしで毎月10万円ずつ投資に回していれば、10年後の純資産は1,500万円以上になり得ます。
純資産は「今の時点の経済的な実力」を表す最も正直な指標です。
資産の洗い出し — 日本の家計でよくある項目
まずは、自分が持っている「プラスの資産」をすべてリストアップしましょう。漏れがないよう、以下のカテゴリに沿って確認してください。
- 預貯金:普通預金、定期預金、ゆうちょ銀行の通常貯金。複数の銀行に分散している場合は全口座の残高を合計する
- 投資資産:投資信託(つみたてNISA・iDeCo含む)、個別株式、ETF、債券。証券口座の時価評価額で計算する
- 保険の解約返戻金:終身保険や養老保険など、解約すればお金が戻ってくるタイプの保険。保険会社に問い合わせるか、年1回届く「ご契約内容のお知らせ」で確認できる
- 不動産:自宅マンション・一戸建て・土地・投資用不動産。時価での評価が望ましいが、近隣の売買実績や不動産ポータルサイトの相場で概算する
- 退職金・企業年金:確定給付型企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)の現在の資産残高
- 車:中古車買取相場で評価。新車で300万円で購入しても、3年後の市場価値は150〜200万円程度のことが多い
- その他:金・プラチナ、暗号資産、貸付金、事業用資産など
iDeCoの資産は60歳まで引き出せませんが、純資産の計算には含めて構いません。ただし、「今すぐ使える資産」と「将来受け取れる資産」は分けて把握しておくと、より正確な家計の全体像がつかめます。
負債の洗い出し — 見落としがちな借金
次に、すべての負債(借金)をリストアップします。「自分は借金なんてない」と思っていても、意外と見落としがちな項目があります。
- 住宅ローン:残債額は毎年届く「返済予定表」や、金融機関のWebサイトで確認できる。繰上返済を考える際の基準にもなる
- カーローン:ディーラーローン、銀行マイカーローンの残高
- 奨学金:日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は立派な借金。スカラネットで残高を確認できる。無利子(第一種)でも残債は負債に計上する
- クレジットカードの分割・リボ残高:一括払いの未決済分は負債に含めなくてよいが、分割払い・リボ払いの残高は負債。リボ払いの金利は年15%前後で非常に高い
- カードローン・キャッシング:消費者金融やカードローンの残高
- 親族からの借入:契約書がなくても、返済の約束があるなら負債として計上する
年代別の純資産の目安
自分の純資産が「多いのか少ないのか」を知るために、年代別の平均値と中央値を把握しておきましょう。日本銀行の「家計の金融行動に関する世論調査」(2024年)をベースにした目安です。
- 20代(単身):中央値 約90万円。この時期はゼロやマイナス(奨学金)でも珍しくない。貯蓄習慣をつけることが最優先
- 30代(二人以上世帯):中央値 約390万円。住宅購入でローンを組むと一時的に純資産がマイナスになることも多い
- 40代(二人以上世帯):中央値 約520万円。教育費のピークと住宅ローンの返済が重なる時期。資産形成が停滞しやすい
- 50代(二人以上世帯):中央値 約800万円。子どもが独立し始め、住宅ローン完済が見えてくると急激に純資産が伸びる
- 60代(二人以上世帯):中央値 約1,200万円。退職金の受取りで大幅に増加するケースが多い
これらはあくまで中央値であり、平均値はこれより高くなります(一部の高額資産保有者が平均を引き上げるため)。大切なのは他人との比較ではなく、自分の純資産が毎年増えているかどうかです。年に1回、同じ時期に純資産を計算して推移を記録しましょう。
純資産を増やすための3つの戦略
純資産を増やすには、結局のところ3つの方法しかありません。
- ① 収入を増やす:昇給、副業、転職。日本では転職で年収が10〜20%上がることも珍しくない。スキルアップへの自己投資も長期的に見れば最もリターンの高い投資
- ② 支出を減らす:固定費の見直し(格安SIM、保険の最適化、サブスク整理)が最も効率的。家計簿をつけて「使途不明金」をなくすだけでも月1〜3万円の効果がある
- ③ 資産を運用する:つみたてNISA、iDeCo、特定口座での投資信託など。年利5%で運用すれば、20年後には元本の約2.65倍になる(複利効果)
この3つは掛け算で効いてきます。収入が増えても支出も増えれば純資産は変わりません。収入は平均的でも支出を最適化し、余剰資金を運用に回している人が、結果的に最も早く純資産を増やしています。
特に日本では、新NISAの非課税枠(生涯1,800万円)やiDeCo(掛金全額所得控除)といった税制優遇制度が充実しています。これらをフル活用せずに純資産を増やそうとするのは、わざわざ遠回りしているようなものです。
よくある質問
持ち家は純資産に含めるべきですか?
純資産がマイナスでも大丈夫ですか?
退職金やiDeCoは純資産に含めますか?
純資産の計算はどのくらいの頻度で行うべきですか?
Hartono
創設者、GoFinSolve
Hartonoは、金融の計算を誰もが簡単に使えるようにするためにGoFinSolveを作りました。すべての計算ツールとガイドは本人が作成・監修しています。このコンテンツは情報提供のみを目的としており、金融アドバイスではありません。